TEAM

大和不動産鑑定の現場から

動産・インフラMOVABLE ASSETS / INFRASTRUCTURE

新井香里

東京鑑定本部
不動産鑑定士
ASA(米国鑑定士協会)
認定資産評価士(機械・設備)
MAI
MRICS

新井 香里KAORI ARAI

平成16年入社
平成20年不動産鑑定士登録

― 資産ソリューション部について教えてください。

資産ソリューション部は2018年10月に不動産のみならず動産評価も出来る資産評価室としてスタートしました。当初、大和不動産鑑定という社名を持つ弊社で動産評価が出来るということを知ってもらうことが第一の課題でした。また、不動産鑑定と異なり、日本には動産評価の国家資格がないため、弊社ではASA(米国鑑定士協会)認定の資産評価士が業務に携わっています。

既存のお客様に不動産、エンジニアリングレポート作成業務と共に動産評価についてもワンストップで提供できることをアピールしたり、ホームページやセミナーで紹介したりしているうちに切れ目なくご依頼が頂けるようになりました。

2020年、資産評価室は、不動産・動産評価、エンジニアリングレポート作成業務、建築コンサルティングをワンストップで受注できる「資産ソリューション部」として業務を拡大し、総合コンサルティングファームの一環を担っています。

― 機械設備の評価にあたって留意している点

不動産評価に慣れ親しんでいる私にとって動産評価をするにあたって注意する点は現地調査でしょう。
不動産評価・動産評価のどちらにおいても現地調査は実施しますが、不動産とは文字通り「動かないモノ」なので、確認資料に基づいてどこにあるかを調べて現地で確認できます。ところが、「動かせるモノ」である動産は、存在するか否か、それがどういう状態なのか、を立会人にヒアリングしながら確認する作業が大きな意味を持っています。

評価における価格形成要因分析についても、不動産は不動産鑑定士が自ら収集可能な事例やマーケットが形成されていますが、動産はそれを稼働させている現場の人が最もその資産についての情報を有する人なので、現地調査におけるヒアリングは必須です。

― チームの活動状況

機械設備と一言で言っても、種類は数万あると言われており、評価の度に異なるタイプの資産を評価することになります。このため、深く掘り下げることが難しいのですが、チームでノウハウを蓄積して様々な資産に対応出来るようにしています。

また、海外では日本より機械設備の時価評価がよく行われているので、当社と提携している海外の評価会社と合同で機械設備評価を行う等積極的に情報交換を行い、研鑽に努めています。

この業務の醍醐味は滅多に見ることの出来ないものを見られることで、造船中のドックを見せてもらったり、飛行機のコックピットに入って操縦席に座らせてもらったりしました。

新井香里

― 今後の課題

国際財務報告基準(IFRS)の導入、企業M&A、減損会計等により、機械設備の時価評価ニーズは高まっているものの、日本における機械設備は簿価をそのまま採用する等、機械設備評価は不動産鑑定評価ほど認知度が高くありません。
機械設備評価を出来る専門家の存在を知ってもらうこと、機械設備を時価評価することで得られるメリットについてセミナー・レポート等でお伝えすることが必要と考えております。

村尾崇

東京鑑定本部
ASA(米国鑑定士協会)
認定資産評価士(機械・設備)
不動産鑑定士

村尾 崇TAKASHI MURAO

平成25年入社
平成28年不動産鑑定士登録

― 機械設備の評価にあたって留意している点

機械設備評価において、最も大事なことの一つとして挙げられるのが現地調査(目視・ヒアリング)です。
現地調査は、時には数千点にも及ぶ機械設備の維持管理の状態及び劣化状況の確認、使用頻度・運用形態の調査等を目的に行うものですが、その中でも特に現場オペレーターの方へのヒアリングが非常に重要だと考えます。なぜなら、これらの機械設備がこの後何年間使えるか、機械設備の修理・改修状況の経緯、稼働状況、稼働設備の課題等を把握する際に、「機械設備」のプロフェッショナルへのヒアリングは評価する上で参考とするところが大きいためです。
また現地調査においては、稼働中の工場において実施することが多いため、指定外の通路を歩かない・勝手な行動はしない・フォークリフト等の搬送機の動きに注意する等、安全性の確保を最優先で行っています。

― チームの活動状況

機械設備評価で必要な外部情報として、業界動向、最新機器や中古機器の価格動向、各種物価指数等が挙げられますが、これらの情報を収集し、評価へ反映することにより、説明責任を果たせる評価を目指しています。
また、機械設備評価の依頼背景として把握する必要がある税務・会計制度の動向についても情報収集を行っています。
国内における機械設備評価業務は海外に比較すると歴史が浅く、情報・ノウハウの蓄積もこれからの状況ですが、当社と提携している海外の評価会社と合同で機械設備評価を行う等積極的に情報交換を行い、国内外問わず評価方法のノウハウの蓄積をしています。

村尾崇

― 今後の課題

昨今の国際財務報告基準(IFRS)の導入、企業M&A、減損会計等により、機械設備の時価評価ニーズは高まっている一方で、現時点では国内における機械設備評価は、不動産鑑定評価ほど活用されていません。
そこで、機械設備評価をより活用していただくために、まずは機械設備評価を知ってもらうこと、機械設備評価を行うことで得られるメリットについてセミナー・レポート等でお伝えすることが必要と考えます。「機械設備」と一口に言っても、「製鉄所生産設備」から「製薬製造ライン」まで広範な分類がありますが、いずれの機械設備にも対応できるように自己研鑽を行い、さらに専門家・評価人同士の人的ネットワークの構築が必要と考えております。