TEAM

大和不動産鑑定の現場から

ホテルHOTEL

山本高弘

東京鑑定本部
不動産鑑定士
不動産証券化マスター

山本 高弘TAKAHIRO YAMAMOTO

平成30年入社
令和2年不動産鑑定士登録

― ホテルチームの取り組みについて教えてください。

ホテルというアセットは、不動産マーケットはもちろん、海外の政治情勢の変化や国内の自然災害による宿泊需要の減少等、間接的な事象による影響を受けることが少なくないため、特定エリアのマーケットを分析することはもちろん、マクロ的要因を分析することが重要です。特に最近では、新型コロナウイルス感染症の影響により観光産業は大きな打撃を受けており、ホテルの評価に関しても非常に判断が難しい状況が続いています。
そのため、ホテルチームにおいては、売買動向や利回り動向などの不動産としてのホテルに関する情報のほか、宿泊者数や開発動向といった観光産業全体の動向や、各エリアの客室稼働率、平均客室単価の推移等を把握し、評価への影響を検討しております。

― ホテル評価の醍醐味について

ホテルはその収益がホテル事業の経営に強く影響を受けることから、オペレーショナルアセットと呼ばれ、評価に当たっては事業分析を行うことが必要になります。

事業分析に当たっては、評価対象であるホテルの現在の宿泊単価設定や人件費、清掃費、広告宣伝費等の料率が適正か否かという分析を行うのですが、立地やホテルクラスによってその数値は大きく異なります。例えば、羽田空港周辺のビジネスホテルと、沖縄の離島にあるラグジュアリーホテルでは、コンセプトやターゲットとなる顧客層などが大きく異なりますので、そもそもの標準的な水準自体も異なります。また、季節性やイベント等による影響も見逃せません。

ホテル評価はこれらのホテル事業に関する各項目を検証したうえで、積み重ねていく必要があり、分析の結果、類似ホテルや一般的な水準とは違った水準の運営が行われているときに、これを評価にどのように反映していくかを検討することがホテル評価の面白さであり醍醐味だと思っています。

山本高弘

― これからどのような不動産鑑定士になりたいと思いますか?

鑑定評価業務に当たっては、評価対象となる不動産について深く理解していることが必要だと日頃から考えております。
具体的には、不動産の物的な状況や権利関係のほか、ホテルであれば運営状況、周辺の競合施設、類似施設の売買動向など、幅広い情報を集約し、評価に反映しております。
将来的には、こうした評価業務で得られた知識、経験を活かして、単に鑑定評価書を納品することに留まらず、お客様の様々な課題解決のお手伝いをさせていただけるようなプロフェッショナルになりたいと思っております。

山下翔吾

東京鑑定本部
不動産鑑定士
不動産証券化マスター

山下 翔吾SHOGO YAMASHITA

平成25年入社
平成28年不動産鑑定士登録

― ホテルの評価にあたって留意している点はどんなところですか?

ホテルの評価は、主にその収益性に基づいて行われますが、想定次第で価格が大きく変動します。その意味で鑑定士の責任は重く、依頼者や利害関係者に対して説得力のある評価ができているか、市場動向を反映したリアリティのある評価ができているか、常に留意しています。

ホテルと一括りになっていますが、ビジネスホテルやフルサービスホテル、リゾートホテルなどタイプは様々で、タイプごとに収支の特性が異なります。また、最近ではコンドミニアムホテルやグランピング施設など時代に合わせてホテルもどんどん変化していきます。業界の動向に常にアンテナを張って知識を更新していくよう心がけています。

山下翔吾

― 今後の課題はありますか?

新型コロナウイルスの流行は、ホテル業界を一変させました。徐々に日常を取り戻しつつある現在ですが、ホテル業界全体としての売上はコロナ前に遠く及びません。

これからのホテル評価において、短期的には国内需要が戻るのはいつか、中長期的にインバウンド需要が戻るのはいつか、判断が大変難しい状況です。また、コロナ後はリモートワークなど非対面のネットワークが発達することで、出張や社員旅行の減少、反対にワーケーションの流行など社会情勢も変革期にあるといえます。

このような変化の時代の中、将来動向を予測するのは大変難しいですが、ホテルチームメンバーと一緒にマーケットの分析、最新の市場動向を把握することに努めていきたいと思います。また、弊社にはリサーチ&マーケティング部門もありますので、そういった他部署とも連携の上、多角的・広域的な視点で市場の分析、研究を進めたいと思います。