TEAM

大和不動産鑑定の現場から

海外不動産OVERSEAS REAL ESTATE

長與剛慶

東京鑑定・証券化部
不動産鑑定士

長與 剛慶TAKANORI NAGAYO

平成19年入社
平成23年不動産鑑定士登録

― 海外不動産チームとはどのような仕事をしているのですか?

大きく分けると2つあります。
インバウンドとアウトバウンドです。

インバウンドとは、外国人が日本の不動産を買うときに、日本の不動産の評価書を取得する業務のことです。外国人のために評価書を書きますので、英語で評価書やレポートを作る必要があります。
一方、アウトバウンドとは、日本企業が外国で不動産を取得する際、それが適正な価格で買えているのか調べる調査業務のことです。

弊社では、アジア、オセアニア、欧州、北米等、広範なエリアで現地拠点となる現地提携先会社を擁しています。各国、大手鑑定機関をパートナーとして選定していますので、安心してクライアント企業の要求事項を委託することができます。
最近では、国外においては、不動産のみならず、機械設備といった動産評価、株式価値等の企業価値評価も、ワンストップで対応できるような体制を整えております。

― 不動産鑑定士として、お客様と接するときに心がけていることはどんなことですか?

『何故評価書が必要になったのか? 』という評価書の依頼の背景について注意してヒアリングを行っています。

お客様は鑑定評価の分野について、ほとんど専門知識をもっていないケースが多いです。
依頼背景やニーズからどのような内容を評価書に記載すべきか、お客様の目的が達成できるように評価書を作成しています。
お客様と話すときには、専門用語はなるべく使用しない、または、使用しても理解できるように説明を踏まえて、コミュニケーションを取ろうと心がけています。
専門性が強い分野なので、一方通行な会話に終始しないように気をつけています。

― 海外不動産の体験談を教えてください。

中国、台湾を含む中華圏、東南アジア諸国、北米地域と広域な地域での評価業務、またはコンサル業務を経験していますが、いずれの国においても、不動産の基本的な制度、評価の方法等が日本と大きく異なっています。
まずそれらを整理することが大変です。

それから海外不動産の評価については、その国の鑑定人や専門家とタイアップして業務を行うのが基本です。当然、相手と密接にコミュニケーションをとる必要があるのですが、そこで外国語スキルの重要性を痛感することが多いですね。
特にフランスの物件を評価したときなんですが、現地の鑑定人の方が英語がそれ程得意でなく、自然と会話がフランス語になってしまうのには、びっくりしました。

しかも、基本メールは返ってこないですね(笑)。外国人とタッグを組んで大変なのは、趣旨がよく伝わらないところなのです。「見積もりが欲しい」と言っただけなのに、全然返事が来なくて、こちらから確認したら一人勝手に作業をガンガン進めていたりしますから(笑)。
そうしたことを通して一貫して感じるのは、日本人の仕事は、世界的にもきっちりしているということです。外国人の方と仕事すると、良い意味でも悪い意味でもそのことを再認識させられます。
外国人の方の作成するレポートは、基本的に大雑把ですから。それを全部修正させようとすると、ぶつかってしまうので、どこら辺でバランスを取るのか、そこに気を使います。

― 海外の鑑定評価は、日本の鑑定評価とどんな点が異なりますか?

不動産や物の評価における考え方の原理は、どこでも共通です。
その不動産が、いくらのコストをかけて作られたものか(費用性)、いくらで取引されているか(市場性)、どのくらいの収益を生み出すものか(収益性)という点を考慮して、価格が決定され、これは万国共通です。
ただ、不動産は土地の所有をどう捉えるか(所有権・使用権)、土地と建物を別々の所有の対象にするか、不動産の取引慣習など、長い歴史の中で、国ごとに独特の考え方があります。そういった点で、評価手法の内容を細かく見ると、異なる点が多く見受けられます。
また、海外不動産の評価は、基本的には現地の鑑定士が行い、日本の不動産鑑定士は、現地評価書に対するレビューレポートを作成することが多いです。しかし、案件によっては、現地から取引事例などのデータを取得し、自分で鑑定評価書を作成する場合もあります。

長與剛慶

― これまでの仕事のなかで特に印象の深いものを教えてください。

中国の高層オフィス(展望台・ホテル・オフィス・店舗)について、クライアントから、各部分の階層別効用比(各部分の床面積単価比)を求められたことがあります。しかし、展望台の取引事例はないので、現地鑑定人にも評価できないと言われ、非常に困ったことがありました。
日本や他国のケースを参考に査定しましたが、現地の人間が出せないという価格を出さなければいけない案件でしたので、非常に緊張しました。
また、台湾の案件では、クライアントが台湾に土地を持っていて、「何か開発をして利用したいが、海外での開発案件は初めてなので、何をすればいいか、まったくわからない。御社は何ができるのですか」というような、業務範囲がはっきりしない案件を受託しました。
評価業務だけでなく、現地の事情が全くわからないクライアントに対して、現地のマーケット状況を提供した上で、保有地についての最前の使用方法(最有効使用)を提案するというコンサルティングの要素が強く、チャレンジングでしたが、こういった業務を今後多く手掛けていきたいと印象に残った案件でした。